給与所得者は、その勤務先から通常支給される給与や賞与以外にも、労働基準法に規定されている各種手当の支給を受ける場合がある。例えば、就業中に交通事故などで怪我をした場合は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の「休業補償」が使用者から支給される。
「休業補償」の支給を受けた場合は、給与計算のときに所得税に注意する必要がある。
労働者が業務上の負傷等により休業した場合、労働者に重大な過失がなければ労働基準法の規定に基づき「休業補償」が支給される。この「休業補償」は、所得税法の規定により所得税は非課税となる。したがって、労働の対価として支給される「賃金」と「休業補償」を合算して所得税の計算をしないように注意しなければならない。
ちなみに、休業補償以外に治療費等を補償する「療養補償」や、身体に障害が残ってしまった場合などの補償として支給される「障害補償」なども非課税所得となる。
ただし、同じ「休業」でも使用者に故意過失等がなく、経営上の障害により休業する場合は労働基準法の規定に基づき「休業手当」が支給されるが、これは給与所得として課税対象になる。「休業前の給与」と「休業中の休業手当」は実質的に同じものだから、同じ所得税が課されるわけだ。
「休業補償」と「休業手当」の所得税の取扱いには十分留意したい。
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