日本商工会議所は、女性の活躍推進を制約する要因の一つとして指摘されているいわゆる「103万円・130万円の壁」と称される税制・社会保険上の阻害要因を最大限解消するための提言を発表した。
まず、現行の所得控除制度(基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除)は、累進税率の下では高所得世帯ほど税負担が軽減されており、多くの子育て世帯が含まれる低所得者世帯(年収300~400万円)には税負担の軽減効果が小さい。
そのため、配偶者控除については、見直しに当たって、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除を一本化し、所得額によらず税負担の軽減額が一定となる税額控除制度への移行を求めた。
次に、社会保険制度の見直しを提言。社会保険(厚生年金、健康保険)の保険料負担によって急激な手取り額の減少が生じる「130万円の壁」の最大限解消のため、世帯単位で見た手取り額の減少幅を縮小するための保険料負担の段階的減額など、制度改正や政策的措置の総合的検討を要望した。
また、企業による扶養手当の見直しを提言。約5割の企業が103万円、2割の企業が130万円を基準として扶養手当を支給しており、世帯単位での手取り額の逆転に拍車をかけていると指摘。これも社会保険と同様、なだらかな支給に変えていくなどの検討が必要であり、政府はそうした企業の取組みを後押しするインセンティブの付与を検討すべきとしている。