TAO通信

2012.02.29更新

 株主優待とは、企業が株主に対して配当の他に製品やサービスを提供する制度のこと。大和インベスター・リレーションズの調査によると、2011年8月末で上場企業の1038社がこの制度を導入しており、これは同制度導入企業全体の約30%に迫り、過去最高の水準だという。
 株主優待の内容は航空券割引、鉄道乗車割引、食事券等の優待券、飲食料品等の「自社製品」など様々だが、だからといって、とりたてて目新しいサービスが増えている訳でもない。ここ数年、同制度の新規導入企業は頭打ちで、変更や廃止も多く、一投資家とすれば落ち着かない。
 そこへ東日本大震災が発生、円高株安の構図は長引き、相場の低迷で株価の値上がりに期待感が薄い。個人株主の本音は高配当期待だが、それもままならず企業としては投資家への自社アピール、消費者でもある自社ファンをつなぎ止めておきたいとの思惑が、導入率の増加を生んだ。
 もう一点、企業・市民を問わず、社会貢献活動として被災地への寄付を行う社会的な流れが出来上がっていることも、同制度の導入を助けたと言えそうである。やまや(宮城県塩竃市、食飲料卸販売)のように株主優待に相当する金額を義援金として寄付することが選択できる優待制度を新規・変更する企業が増えたからだ。同社では1243名の株主が義援金を選択し、優待制度の準備金から101万9千円が日赤に贈呈されたという。
株主優待の内容を金額換算すれば、投資額対比の利回り計算も可能。しかし、それ以上に「被災者支援」を優先する株主が多かったという、嬉しいニュースだった。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.29更新

  2月16日より平成23年分の確定申告が始まったが、楽天リサーチが、全国の20~69歳の男女計1000人を対象に1月26日から27日にかけて実施した「確定申告に関する調査」の結果によると、過去に確定申告をしたことがある人のうち、「自分で確定申告をした」人は全体の57.8%、「税理士などに依頼して申告した」人は8.2%で、6割以上の人が確定申告を経験していることが分かった。
 確定申告を行う理由は、「年間10万円を超える医療費を払ったため(医療費控除)」が30.7%で最も多く、次いで「自営業・自由業(フリーランス)など、職業上必要なため」(19.7%)、「転職や退職をして、年末調整を受けていないため」(17.2%)、「住宅ローンを組んでその年に住宅を購入したため」(17.1%)などの回答が続いている。なお、確定申告を義務付けられている「給与収入が2000万円超のため」は0.9%とごく少数だった。
 一方、今年度に確定申告を行う人(予定者)は39.0%だったが、予定している確定申告の方法については、「税務署の申告会場や窓口で申告書を作成・提出」が24.6%で最多、次いで「e-Taxで申告」と「国税庁のホームページで作成し、税務署で提出」がともに13.3%で並んだ。
 依然として主流はアナログな方法だが、今年度の「e-Tax」での申告は13.3%と、昨年の「e-Tax」を利用した人と比べて4.1ポイント上昇する。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.21更新

 2012年は、創業100 周年となるアニバーサリー企業の当たり年で、全国に1,854社。調査した帝国データバンクは、昨年より約3倍も多いと分析した。
 創業年(1912年)は、ちょうど明治45 年(大正元年)に当たる。100年前、創業者たちは明治後期から大正にかけての産業黎明期と年号改元が重なることに祝賀と縁起と将来を重ね合わせ、努力と発展を誓い合ったことであろう。
 その100年企業は、シャープ、ヤンマー(以上大阪)、イビデン(岐阜)、JTB、大正製薬、カンロ(以上東京)、西武鉄道(埼玉)等である。これまでの通念なら記念事業やイベントなど祝賀ムードに湧くところだが、今年はその気配が伝わってこない。昨年の大震災の余波と経済状況などへの不安から、延期や自粛が相次いでいるものと考えられる。最も業歴が長い創業350 周年の東急百貨店(東京)とモリリン(愛知)の2社も手放しで喜び合うほど日本列島は幸せではない。
 老舗企業といえば小売や卸売に多い。東京都の日本橋地区がその代表例で、全国的に見ても創業100年企業は東京都や京都府に多く、この2業種で52%を占める。日本橋地区は日本橋再生計画を打ち出し2014年に大規模開発に着手する。そのために今年300年の寿命を誇る国分(酒類卸)など日本橋の経営者が、初心回帰と再生悲願を込めて、次の100年の基礎造りに異業種は結束し躍動する。それは日本橋のみならず東京都の活性化の一歩でもある。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.21更新

 2011年度11月成立の税制改正では、「税務調査を行う場合には、あらかじめ納税義務者(その税務代理人を含む)に対し、事前通知を行う」こととされた。ただし、正確な事実の把握を困難にするおそれ、違法もしくは不当な行為を容易にし、またはその発見を困難にするおそれ、その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合は事前通知を要さない。
事前通知の対象となる納税義務者とは、納税者本人をいい、税務代理人とは、税務代理の権限を明示する書面を提出している税理士または税理士法人をいうこととされている。
 事前通知の内容は、「調査を開始する日時」、「調査を行う場所」、「調査の目的」、「調査の対象となる税目」、「調査の対象となる期間」、「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」、「調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所または居所」、「調査を行う税務職員の氏名及び所属官署」、「調査を開始する日時または場所の変更に関する事項」など10項目に及ぶ。
 調査が終了したら、税務署長等は調査の結果、更正決定等をしない場合には、「書面により通知」する。更正決定等をすべき場合は、調査結果の内容(更正決定等をすべきと認められた額及びその理由を含む)を説明する。この場合、書面通知でなくともよい。ただ、調査の結果に関し申告書を提出した場合は、不服申立てはできないが、更正の請求はできる旨説明し、書面も交付する。2013年1月1日以後に適用する。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.14更新

 この3月で東日本大震災から1年になる。その影響を受けた中で被災地外の企業に勤務しているビジネスマン、OL(25~39歳)はどのように受け止めてきたのか。ショッキングな出来事は震災だけではない。EU諸国の財政不安、円高、タイの洪水などが企業活動を鈍化させたまま4月の新年度を迎えようしている。
 大震災が日本国民に与えてくれたものがあるとすれば、それは「絆」という漢字1字で家族や夫婦、友人の人間関係を見直す機会を恵んでくれたことだ。ビジネスマン・OLに「2011年の仕事観」を漢字で表してもらったところ「耐」だった、と就職情報誌のDODAが公表した。
 しかし彼らはこの1年を"耐え忍んだ"だけではなかった。震災や円高などの襲来から何かを「学び取ろう」と、したたかな粘り腰も見せたのだ。漢字1字で表せば、それまでなかった「学」「変」「考」が新たにランクインしている。プラス思考で「耐」から「克」へ意識が変移しつつあることが分かる。
 「学」は大震災によって危機管理・BCP、エコの重要性など学んだことも多かったから。「変」は震災の影響で仕事に対する気持ちが大きく変化したため。「考」は震災以降、仕事に対する取り組み姿勢を、忍耐とか考えさせられたから。主な業種別の1位では、メーカーは国外の情勢に忙殺され自身も転勤があって「忙」。
 商社・流通、小売・外食は「耐」。新年度こそ「克」つことに願をかけ1位としたい。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.14更新

 国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。財務省は、2011年度の実績見込みでは40.1%だった国民負担率が、2012年度予算では0.2ポイント微減の39.9%となる見通しを発表した。これで、リーマン・ショックの影響で税収が落ちた09年度以来3年ぶりに前年を下回る。
 2012年度見通しの内訳は、国税が13.0%、地方税が9.8%で租税負担率が22.7%、社会保障負担率は17.1%。
 2011年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.2ポイント減(国税は同水準、地方税は0.1ポイント減)、社会保障負担率は0.1ポイント減。増え続けていた社会保障負担は、この統計を開始した1970年以降では最高を記録した11年度からわずかに低下した。
 国民負担率を諸外国(2009年実績)と比べた場合、アメリカ(30.3%)よりは高いが、スウェーデン(62.5%)、フランス(60.1%)、ドイツ(53.2%)、イギリス(45.8%)などより低い。
 真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2012年度の国民所得(11年度に比べ7万1千円増の349万4千円)に対する財政赤字の割合は、前年度から3.3ポイント減の11.4%となる見通し。
 この結果、12年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的国民負担率」は、11年度からは3.6ポイント減の51.2%となる見通しだ。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.08更新

 東日本大震災後、日本国内に急速に浸透し始めた「エシカル消費」という行為。アメリカのニュース雑誌『TIME』は、エシカル消費のことを、選挙、ボランティアに次ぐ第三の社会参加と位置付けた。レストランで外食して代金を払うとき「(当店は)代金の一部を東日本大震災の被災者(地)に寄付します」といったような表示が数多く見られた。このように、毎日の消費活動を通じて社会貢献に参加する行為をいう。
 この行動には西欧的な倫理観、宗教観もあるが、大震災後の日本では「応援消費」とか「がんばれ東北」といった助け合いの表現として日常的、普遍の行為になろうとしている。また、エシカル行為には当然企業活動も含まれる。「企業は市民」との考え方に基づき町や地域に貢献し、その責任を果たすCSR(企業の社会的責任)が試される絶好の機会となったのである。
 エシカル消費は、自分に負担をかけずに、普段の消費行動のなかで自然に社会貢献できるといった点がメリットである。このことは同時に、社会貢献を通じて顧客満足度を高めることになり、その商品を販売する企業のブランドイメージを向上させることにもつながる。これからのマーケティングは真のCSRを問われるだろう。
 最近の内閣府調査によると、「ボランティア活動を組み込んだ海外旅行ツアー」の消費者は、7割近くが20歳代だったという。エシカル消費が一般化するにつれて、社会のあり方や支え合いといったものの将来像が見えてくるかもしれない。

投稿者: TAO税理士法人

2012.02.08更新

 内閣府が全国20歳以上の人を対象に昨年11月に実施した「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」結果(有効回答数1,890人)によると、国民の社会保障や税務に関する情報をまとめて把握するための共通番号制度の必要度について、「必要だと思う」との回答が57.4%と6割近くを占め、「必要だと思わない」(27.3%)を大きく上回った。「わからない」との回答は15.3%となっている。
 番号制度の認知度については、「内容まで知っている」との回答が16.7%、「内容は知らないが、言葉は聞いたことがある」が41.8%、「知らない」が41.5%となった。国民の間では内容が十分に周知されていない現状が明らかになった。
 番号制度における個人情報に関することで最も不安に思うことは、「個人情報が漏えいすることや、プライバシー侵害のおそれ」との回答が40.5%、「『番号』や個人情報の不正利用により被害に遭うおそれ」が32.2%、「国により個人情報が一元管理され、監視、監督されるおそれ」が13.0%となっている。なお、「特にない」との回答は11.0%に過ぎず、番号制度に対し何らかの懸念があることをうかがわせる結果となった。
 一方、番号制度に対する期待(複数回答)については、「社会保障と税に関する行政機関の手続きが簡単になること」との回答が44.8%で最も多く、次いで「社会保障の不正受給や税の不正還付を防ぐことができるようになる」(35.0%)が挙げられている。

投稿者: TAO税理士法人

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