国税庁がまとめた2014年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数は209件で前年度比28.1%減となったが、金額では大口案件があったため同262.0%増の286億円と大幅増加。件数は5年連続の減少、金額は5年ぶりの増加となった。
物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、それまで年間400~500件程度に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、1990年度に1238件、1991年度に3871件、そして1992年度には1万2千件台まで急増した。
しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、1999年度以降は年々減少。2014年度も5年連続の減少となっており、2014年度の申請件数はピーク時1992年度(1万2778件)のわずか0.9%、金額でも同じくピーク時1992年度(1兆5645億円)の0.2%にまで減少している。
一方、処理状況をみると、前年度からの処理未済を含め前年度比34.2%減の131件、金額では同306.8%増の301億円を処理した。金額は大口案件があったため。処理の内訳は、全体の7割強の88件が許可されて財務局へ引き渡され、物納財産として不適格として18件が却下、残りの25件は納税者自らが物納申請を取り下げている。
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