厚生労働省が2016年度税制改正要望の中で提案している「市販薬控除」が現実味を帯びてきた。厚労省は、医療需要の増大をできる限り抑えつつ、「国民の健康寿命が延伸する社会」の実現を図るためセルフメディケーションの一環として要望。高齢化社会の進展に伴う社会保障費の増大を抑制したい財務省が、厚労省とともに「市販薬控除」の新設を近く与党に提案し、来月にもまとめられる税制改正大綱への反映を目指す。
厚生労働省は、現行の医療費控除との選択適用で、市販薬を年間1万2千円以上購入した世帯について、総額から1万2千円を引いた金額を最大10万円まで所得控除の対象にするという新制度を提案している。現行の医療費控除は自己負担額が10万円を超えないと対象とならないが、市販薬だけで10万円を超えることはなかなか難しく、病院に頼らず市販薬だけで対処しようとする人は控除を受けにくかった。
財務省と厚労省は、市販薬だけを対象にした所得控除制度を設けることで、軽い症状であれば病院にいかず市販薬での治療を促し、医療費の削減につなげたい考えだ。
現在、控除対象となる「市販薬」の範囲について調整が進められているところだが、薬局やドラッグストアで処方箋なしで購入できる薬品で、医療用医薬品(処方薬)を市販薬に転用した「スイッチ大衆薬」が対象の軸になる見込みだ。