渡切交際費とは、役員や従業員に対して交際費など会社の業務のために使う目的で金銭を支出したにもかかわらず、その使途や使用金額について精算を要しないものをいう。このような支出は名目上交際費として会社が支給をしたとしても、領収書等の証拠資料をもって精算がされないような交際費は、支給を受けた人間が自由に処分できるので、給与の性質を有するものと考えられ、交際費には該当しないこととされている。
したがって、渡切り交際費が毎月定額で役員に支給されるような場合は、定期同額給与となるので、通常の役員給与に合算した上で過大役員給与かどうか判断され、過大であると認められる部分の金額は損金に算入されないことになる。また、役員に対し臨時的に支給するもの、毎月不定額で支給するものは「役員賞与」として、損金の額には算入されないので注意が必要だ。
例えば、会社によっては、接待の機会が多くなる年末や年始だけに渡切交際費を支給するというようなことも考えられるが、それが役員に対して支給されるものであれば、その金額は支給した役員に対する臨時的な給与として扱われ、この場合には、その内容を事前に税務署長に届出(事前確定届出給与)していない限り、損金の額に算入することはできない。
また消費税法上も、このような渡切交際費は仕入税額控除の対象外となる。