2016.06.29更新
【TAO通信】納税者救済・勝訴割合は8.2%
国税庁・国税不服審判所が公表した異議申立てや審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2015年度)の不服申立て・税務訴訟等を通しての納税者救済・勝訴割合は8.2%となった。
税務署への異議申立ての発生件数は、前年度から15.8%増の3191件となった。処理件数3200件のうち、「一部取消」は212件、「全部取消」は58件で、納税者の主張が一部でも認められたのは計270件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を0.9ポイント下回る8.4%だった。
また、税務署の処分(異議決定)を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、過去最低だった前年度と比べ3.3%と微増の2098件。処理件数2311件のうち、「一部取消」は147件、「全部取消」は37件で、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同横ばいの8.0%となった。
一方、裁判での訴訟となった発生件数は前年度を2.5%下回る231件だった。終結件数262件のうち、「国の一部敗訴」は3件、「同全部敗訴」は19件で、国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同1.6ポイント増の8.4%となっている。
このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2015年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計5773件のうち476件で、その割合は前年に比べ0.4ポイント減の8.2%となった。
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2016.06.23更新
【TAO通信】査察の脱税総額は41年ぶりの低水準
国税庁が公表した2015年度査察の概要によると、査察で摘発した脱税事件は前年度より1件多い181件、脱税総額は前年度を7.5%下回る約138億円と、1974年度(約123億円)以来41年ぶりの低水準となった。これは、脱税額3億円以上の大口事案が5件と3年連続一ケタ台だったことなどが要因。
今年3月までの1年間(2015年度)に、全国の国税局が査察に着手した件数は189件と、前年度(194件)をさらに5件下回った。継続事案を含む181件(前年度180件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち63.5%(同62.2%)に当たる115件(同112件)を検察庁に告発した。この告発率62.2%は、前年度から1.3ポイント増加し、3年ぶりに前年度を上回った。
告発事件のうち、脱税額が3億円以上のものは前年度より1件少ない5件にとどまった。近年、脱税額3億円以上の大型事案が減少傾向にあり、2015年度の脱税総額138億円は、ピークの1988年度(714億円)の約19%にまで減少。告発分の脱税総額は前年度を約11億円下回る約112億円、1件当たり平均の脱税額は9700万円(前年度1億1000万円)と、35年ぶりに1億円を下回った2013前年度(9900万円)をさらに200万円下回った。
告発件数の多かった業種・取引(5件以上)は、「建設業」が15件でトップ、次いで「不動産業」が12件、「クラブ・バー」が7件、「機械器具卸」が6件で続いた。
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2016.06.15更新
【TAO通信】2015年分確定申告、納税額は9.6%増加
国税庁が発表した2015年分所得税等の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した人は、前年を0.6%(12万3千人)上回る2151万5千人となり、7年ぶりに増加した。申告納税額がある人(納税人員)は同3.3%増の632万4千人となり、2年ぶりの増加となった。納税人員の増加に伴い、その所得金額も同6.1%上回る39兆3729億円となり、2年ぶりに増加した。
申告納税額は、前年を9.6%(2614億円)上回る2兆9701億円と、2年ぶりの増加。これは、土地や株式などの譲渡所得が前年分に比べそれぞれ12.2%増、25.9%増と増加したことが影響しているとみられる。申告納税額は、ピークの1990年分(6兆6023億円)の約4割程度(45%)に過ぎない。
なお、還付申告者数は、前年分から0.2%減の1246万5千人と、2010年分からほぼ横ばいで推移しているが、申告者全体の約58%を占める。
所得税申告者のうち、株式等の譲渡所得の申告者は前年分に比べ3.1%減の90万人7千人と2年連続で減少したが、うち所得金額がある人は同0.2%増の46万2千人、所得金額は同25.9%増の2兆7405億円と、ともに2年ぶりに増加した。
これら株式等譲渡所得の申告者を除く土地等の譲渡申告者は同1.7%増の48万9千人、うち所得金額がある人は同6.6%増の32万人1千人、所得金額は同12.2%増の4兆595億円でともに6年連続で増加した。
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2016.06.08更新
【TAO通信】全国で3万店舗を超えた消費税免税店
消費税免税店(輸出物品販売場)店舗数は、2015年10月1日で2万9047店だったが、観光庁のまとめによると、4月1日時点では3万5202店と、半年間で6155店(21.1%)も増加して3万店舗を超えた。
要因は、国・民間による様々な面からの観光立国推進策が図られ、訪日外国人旅行者数が順調に伸びているため。ここ数年にわたる税制改正において地方を訪れる外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充が大きく影響している。
2014年度税制改正では、2014年10月から、従来免税販売の対象ではなかった消耗品(食料品、飲料品、薬品類、化粧品類など)を含めた全ての品目を消費税免税の対象とした。
また、2015年度税制改正では、手続委託型免税店制度が創設され、2015年4月1日以降は、商店街等に設置された「免税手続カウンター」を営む事業者に、各免税店が免税手続きを委託して、同カウンターで各店舗の免税手続きをまとめて行うことが可能となっている。
この半年間の免税店の増加率は、三大都市圏が21.1%増、地方が21.3%増とともに2割を超えていて、全国万遍なく増えている。
なお、2016年度税制改正では、2016年5月1日から、免税対象となる最低購入額は、一般物品が1万円超から5000円以上に引き下げられ、これに合わせ消耗品(飲食料品や化粧品等)も5000円超から5000円以上とされている。
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2016.06.02更新
【TAO通信】通勤手当非課税限度額引上げの処理
周知のように、2016年度税制改正において通勤手当の非課税限度額が月額15万円(改正前10万円)に引き上げられ、2016年1月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用されている。
このうち、政令施行前の1月1日から3月31日までに支払われるべき通勤手当で、改正後の新規定を適用した場合に過納となる税額については、今年の年末調整の際に精算を行うこととされている。
一方で、政令施行日である4月1日以後に支払われる通勤手当についても、改正前の非課税規定で支払ってしまう場合もあると思われる。このような場合には、年末調整による精算で処理するのではなく、旧規定による源泉徴収を行った後速やかに誤納還付請求を行うことで、新規定を適用した場合の差額の還付を受けることができるようだ。
新規定との差額精算については、時期によって適用関係が異なるため、支払った通勤手当がどの期間に対応するものなのかを確認する必要がある。例えば、2015年12月31日までに支払われるべき通勤手当で、2016年1月1日以後に支払われるものは、旧規定の適用となる。また、2016年1月1日から3月31日までに支払われるべき通勤手当で、3月31日までに支払われるものは新規定となるが、旧規定適用の場合は年末調整での処理となる。
さらに、2016年4月1日以後に支払われるものは新規定が適用されるが、旧規定適用の場合は、還付請求を行うことで処理することになる。
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2016.05.25更新
【TAO通信】普及が進む地方自治体のクレジット納税
納税者に利便性の高い納税環境の整備は税務当局の課題だが、地方自治体では銀行・郵便局・コンビニエンスストアの窓口での納付や口座振替での納税などと並んでインターネットを利用したクレジット納税の普及が進んでいる。2016年度からは京都市と福岡市がサービスを開始した。24時間、納税者の都合に合わせて納付できる環境が今や当たり前になろうとしている。
京都市でクレジット納税が可能になったのは、納付書1枚当たりの納付金額が30万円以下の個人市・府民税(普通徴収分)、固定資産税(償却資産含む)・都市計画税(土地・家屋)、軽自動車税。使えるのはVISA、MasterCard、JCB、American Express、Diners Clubのいずれかのロゴがあるクレジットカードで、市納付サイトの指示の流れに従えば手続きは比較的簡単だ。
納付に伴うシステム利用料は、納付金額5000円までは無料だが、5001円以上から額が増えるごとに少額ずつ上がっていく。また、領収書は発行されないことから、必要な場合は行政窓口や金融機関、コンビニで納付する必要がある。一方、福岡市も仕組みはほとんど同じで、異なるのは、納付限度額が1000万円未満、決済手数料が税額1万円ごとに73円(消費税別)となっていることくらいだ。
ネット検索大手のヤフー社は、指定代理納付者の指定を受けて地方税を始めとする公金支払サイトを運営し、現在、約600自治体をカバーしている。
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2016.05.18更新
【TAO通信】2016年度一般会計予算の歳入・歳出
2016年度一般会計予算における国の一般会計歳出では、社会保障関係費(構成比33.1%)や国債費(同24.4%)が年々増加している一方、その他の政策的な経費(公共事業、教育、防衛等)の割合が年々縮小していることが、財務省がこのほど公表した「日本の財政関係資料」で明らかになった。国債の元利払いに充てられる費用(国債費)と社会保障関係費と地方交付税交付金等(同15.8%)で歳出全体の7割以上を占めている。
一方、2016年度一般会計予算における歳入(96兆7218億円)のうち、税収は約6割を占める57兆6040億円を見込んでいる。本来、その年の歳出はその年の税収や税外収入で賄うべきだが、2016年度予算では歳出全体の3分の2程度しか賄えていない。この結果、残りの3分の1程度(35.6%)の34兆4320億円を公債金すなわち借金に依存しており、これは将来世代の負担となる。
一般会計歳入・歳出総額が96.7兆円の我が国財政を1年間の支出が967万円(81万/月)の家計にたとえると、月収52万円に対して、毎月新たに29万円の新規借入れを行っており、ローン残高は8664万円(住宅ローン残高2749万円、生活費ローン残高5916万円)に達している。
なお、2016年度末の普通国債残高は約838兆円にのぼると見込まれているが、これは一般会計税収の約15年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる。
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2016.05.11更新
【TAO通信】法人が支払った義援金は全額損金算入
国税庁はこのほど、今般の熊本地震による被害者を支援するため、熊本県下や大分県下の災害対策本部等に義援金や寄附金を支払った場合の税務上の取扱いや、募金団体に対して支払う義援金が国等に対する寄附金(特定寄附金)として取り扱われるための確認手続き等について、照会の多い事例を、「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」として取りまとめ公表した。
事例はQ&A形式で全13項目。「寄付をした個人・法人の課税関係」と「義援金等を募集する募金団体の確認手続き」、「その他」に分かれ、すぐに使える情報がシンプルに分かりやすく整理されている。例えば、法人が、熊本県下や大分県下の災害対策本部へ支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入される。同様に、個人が支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となる。
個人が義援金を寄附した場合は、寄附金控除の対象になるが、その額は「(その年中に支出した特定寄附金の額の合計額)-2千円」という算式によって計算する。
また、個人が、認定NPO法人や一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対する寄附をした場合には、上記の寄附金控除に代えて、寄附金特別控除(税額控除)の適用が受けられる。その計算式は、「(その年中に支出した寄附金の合計額-2千円)×40%」となる。
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2016.04.28更新
【TAO通信】税務調査は「事前通知」が原則
所得税の確定申告が終了し、税務調査シーズンがまた真っ盛りとなるが、事前通知が行われるようになったことで、調査の受け手にとってはずいぶん負担が減少したようだ。
かつては任意で行われていた事前通知だが、国税通則法改正によって2013年1月以後の税務調査からは義務化された。これにより、ある日突然税務調査に入られて大慌てするといったことは少なくなっている。
しかし、事前通知はあくまで原則であり、「例外」もあるので十分な注意が必要となる。国税通則法74条の10では、事前通知することで、(1)違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は(2)その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断された場合には、事前通知を行わずに無予告で調査することを認めている。
判断材料となるのは、税務申告内容や過去の調査結果など税務署が保有する情報だ。
法人税調査を長年手がけてきた元税務署長は、「例えば、過去の調査で申告漏れが指摘されたことのある会社などは無予告調査の対象になる可能性が大きい」と話す。
合理的な理由なく調査を拒否した場合には「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則もあるため、日頃から“不測の事態”への備えは万全にしておきたい。
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