この仕事をしていて「天職ですね」といわれることがあります。
他の仕事に就いたことがないので天職かどうか分かりませんが、そういっていただけるとしたら、私が師と仰ぐ5人の先生のおかげです。
1.故会田義雄先生
大学で会田先生の「企業会計実務」の講座をとったとき、とても面白かったのがこの道に進むきっかけでした。一番前の席で一生懸命にノートをとっていましたが、先生から「横浜で友人が会計事務所をやっているけどアルバイトしてみない?」とお声をかけていただき、故宮脇實先生に出会い、アルバイトから卒業後もそのまま就職となりました。
2.故宮脇實先生
宮脇先生は、公認会計士として大企業の監査のため全国を飛び回っていらっしゃいました。
事務所にいらっしゃる日は少なく、実務経験がない私はある日宮脇先生に「教えていただきたくても、教えていただく人がいないので・・・」といったところ「僕も最初はそうでした。」とおしゃいました。こんなに偉い先生も最初はそうだったと伺い、自分次第でこんなに立派な先生になれるのだと気付かされました。
育児でしばらく職を離れるときに「また戻ってきます。」といったのですが、その間にお亡くなりになってしまいご恩返しができませんでした。
3.東日弦先生
夫の転勤のため名古屋に移り住み、育児がひと段落して仕事を再開したときにお世話になったのが東日弦先生です。
東先生が公認会計士として監査をしているときに東先生の先生から教えを受けた「分析」という手法を教えていただきました。ただただ元帳から升目用紙に数字を書き写すだけの単純作業ですが、手を動かしてそれをするとその会社の動きや異常値、漏れ等が発見できます。これは私の仕事の基本となりました。
4.故加賀田三郎先生
また夫の転勤で広島に住み、お世話になったのが加賀田先生でした。
税務署勤務の後に税理士となられた加賀田先生は歩く「税法」「税理士法」で何事も原則どおり、「税理士とはどうあるべきか」を教えていただきました。
5.土屋善敬先生
広島から藤沢に戻りお世話になったのが土屋会計事務所(現・TAO税理士法人)の土屋善敬先生です。
土屋先生からは「税理士の仕事は単に税金計算だけではなく、広い視野をもって多方面からお客様にアドヴァイスする」ということを教えていただきました。
能力以上の仕事を与えられ、大変ではありましたが少しずつ成長できたように思います。
この8月仕事に一区切りをつけることとなりました。良い師、良い仲間に恵まれ、元気なうちに後身に道を譲ることができることは望外の喜びです。
H7年5月に土屋会計事務所に入社したときに入り口に「幸福の木」がありました。その木は大きく育ち天井に届いてしまいました。今窓際にある木はその木の子供です。
一足先に承継が済みました。私にとっては入社以来の「幸福」のシンボルツリーです。
(A.K)