消費税率10%への増税時期が本年10月に迫って参りました。ただ、足元では増税に関連して妙な現象が目につき始めました。
企業が資本金を減額する「減資」が小売業で増加しているのです。帝国データバンクが発表した小売業の減資計画は本年5月までで約260件に上ります。(前年同時期約150件)
会社の信用低下につながる「減資」が流行るのは、中小・小規模事業者の枠組みに入って補助金等のメリットを活かしたいと考えている企業が増えているためです。
中小事業者の小売店でクレジットカードやスマホでキャッシュレス決済をすれば、代金の5%がポイント還元されます。消費税率2%アップを上回る5%の還元は実質的な減税であり、顧客のお買い得感を刺激するのは間違いありません。
しかし、消費税率の増税率を上回るポイント還元は過剰な施策であり、税収不足を賄う消費税本来の趣旨に反しているのではないでしょうか。
しかも、そのメリットを活かしたい企業がわざわざ「減資」を行い、「公正な競争をゆがめている」との意見が多数寄せられています。
本年10月の消費税増税へ向けてさまざまな施策が準備されていますが、経済にひずみを与えないような大局的政策が今後求められるのではないでしょうか。
(F.H)