今年も海の日(7月17日)に茅ヶ崎市南湖の西浜海岸で「浜降祭」が開催されます。
この祭りは茅ヶ崎市と寒川町の各神社から大小合わせて約40基の神輿が海岸に集まり「禊(みそぎ)」を行うという盛大な祭りです。地元の神輿好きにとっては一年間の中で最大のイベントになります。
浜降祭の起源については、諸説がありますが、まとめてみると概ね次のようです。
江戸時代の天保9年(1838)に、寒川神社の神輿が例年春に行われる国府祭(こうのまち)【大磯町国府本郷】に渡御した帰途、相模川の渡し場で一ノ宮の寒川神社の氏子と四ノ宮の前鳥神社の氏子が争いを起こし、御輿が川に落ちて行方不明になってしまった。その数日後、南湖の網元である鈴木孫七さんが漁の最中に、このご神体を発見し、寒川神社に届けたことを契機に、毎年同神社の神輿が、そのお礼のため南湖の浜に赴き、「禊(みそぎ)」をするようになったと言い伝えられている説が有力なようです。
浜降祭は別名「暁の祭典」ともいわれるように、祭りの当日早朝には、一ノ宮である寒川神社をはじめ、近隣の神社の神輿が一斉に海岸を目指します。神社を出発する前に暗がりの中で幻想的に行われる「宮出し」も一見の価値ありです。一番神輿は夜明け前の午前4時ころには海岸に到着します。かつては、遠方の神輿は夜中に出発したそうですが、最近では担ぎ手の不足や体力面?を考慮し、海岸近くまではトラックやバスでやって来る神輿が増えてきているようです。このようにして各神社の神輿はそれぞれの方法で次々と海岸に集合していきます。そして最後に地元の南湖地域の上町(琴平神社)、仲町(八雲神社)、下町(住吉神社)の各神輿が、町内を練り歩いて会場入りします。
午前7時には約40基の神輿が勢揃いし、寒川神社の宮司さんによる神事が始まります。約1時間の神事の後、各神輿は帰路に着くのですが、その際に海に入って「禊(みそぎ)」をする神輿が毎年数基あります。私見ですが、浜降祭の一番の見所はこの時だと思います。1基入れば2基3基と海に入っていき、数基が連なって海の中を練り歩く様は圧巻です。
「担ぎ手」はどうしても海に入りたい。一方、神社総代や神輿保存会の方々は1基数千万はする神輿を大事に守りたい(海水に浸かると神輿が傷む)。大勢の見学者は海の中に入る「禊(みそぎ)」を出来るだけ多く見たいと、それぞれの思惑が重なり合います。
相州神輿独特な「どっこい、どっこい」という掛け声、「シャン・シャン・シャン・シャン」とリズムよく鳴る神輿の鈴の音、タイミング良く歌われる「茅ヶ崎甚句」・・・これらの何とも心地良い「祭りの音色」が聞けるのももうすぐです。
(T.I)