TAO税理士法人では10月6日(火)、9日(金)の2回、「マイナンバーセミナー」を行いました。
両日とも多くの方にご参加いただき会場は満席、マイナンバー制度への関心の高さを感じました。
マイナンバー制度に関しては、メリット・デメリット(特にデメリット)がわかりにくいことや、個人情報流出に対する懸念、利用範囲拡大について不確定なことなどから、制度に対する不安の声が多くあがっています。ある世論調査では、およそ8割の方がマイナンバー制度について「不安に思っている」と回答したそうです。
そんな中、消費者庁は10月6日、マイナンバー制度を悪用した詐欺で現金を支払う被害が発生したと発表しました。マイナンバー制度をうたった詐欺で実害が確認されたのは初めてのことだそうです。
被害にあった70代女性は、まず公的な相談窓口を名乗る人物から電話で嘘のマイナンバーを教えられます。その後この女性のもとに、「公的機関へ寄付をしたいのでマイナンバーを貸してほしい」と連絡があり、女性は寄付への協力ならとその人物へマイナンバー(偽物)を教えてしまいます。そしてその翌日、女性のもとに、寄付を受けた機関を名乗る人物から連絡があり、「マイナンバーを教えることは犯罪に当たる。記録を書き換えるための金銭がいる」と現金を要求され、女性は数百万円を支払ってしまいます。
マイナンバーは簡易書留で住民票の住所へ届けられますので電話やメールでマイナンバーを伝達されることはありません。
マイナンバーの利用範囲は法律で、社会保障、税、災害対策の3つの行政分野に限られています。税や社会保障の手続きにおいては事業主、証券会社、保険会社などが個人に変わって手続きを行う場合があるため、勤務先等にマイナンバーの提出を求められる場合もありますが、この場合顔写真付きの身分証などで本人確認を徹底することになっています。電話でマイナンバーを聞かれる、ハガキにマイナンバーを書いて返送する、などは正式な手続きではありません。
不正な手段によって他人のマイナンバーを取得することは法律で罰せられますが、不正な提供依頼を受けて自分のマイナンバーを他人に教えてしまっても、刑事責任を問われることはありません(ただし、むやみに他人に教えてはいけません)。
国の関係省庁や地方自治体などが、マイナンバー制度に関する手続きで口座番号や個人情報を聞いたり、お金を要求することもいっさいありません。
実害はなくても不審な電話に応対してしまったり、何かの書類に印鑑を押してしまったという被害の報告もあります。不審な電話、郵便物、メールなどには安易に応じず、訪問の申し出も断ることが重要です。また少しでも不安を感じたら消費生活センターや警察へ連絡しましょう。あるケースでは「税理士に相談する」と言ったら電話を切られたということもあったようです。
マイナンバー詐欺にあわないために私たちにできることは、マイナンバー制度についてよく知ることです。消費者庁では内閣府、特定個人情報保護委員会、総務省と連名で消費者の皆様に気を付けていただきたい点について、注意喚起を行っています。こちらも是非ご参照ください。
(Y.M)