熊本県を中心に最大で震度7の揺れが観測され、大きな被害が出た今回の熊本地震。発生から1か月半経った現在も、余震とみられる揺れは収まっていない。
そんな先行きが見えない中で、イギリスの科学誌ネイチャー電子版に掲載された海上保安庁による論文が、大きな波紋を呼んでいるそうだ。その内容とは、南海トラフ周辺の広い範囲で、地震を引き起こす源とされる「ひずみ」が蓄積されている、というものだ。
南海トラフといえば、四国の南方から駿河湾に至る海底に存在する水深4000m級の海溝で、近い将来起こるとされる、巨大地震の震源域として注視されているエリア。国が発表した被害想定によると、最大でマグニチュード9クラスという巨大な地震の発生が見込まれており、その場合は津波などにより、約33万人の死者が出ると予想されている。
海上保安庁では2000年度から、日本列島周辺の海底にGPS観測器を設置し、ひずみがたまる陸側と海側のプレートの境目の動きを測定。今回の論文では、南海トラフ沿いに設置した15か所のGPS観測から、06年度から15年度に発生した地盤変動を分析し、年間で最大5.5センチも移動する地点も存在するなど、南海トラフの広範囲にひずみが蓄積されていることが判明。また具体的なエリアとしては、四国の沖合や遠州灘の沖合で、特にその傾向が顕著であることがわかったようだ。
これまでは海底の動きを正確に測定する術がなく、陸地にある観測点のデータから、海底の動きを推定していたが、今回の分析結果は、海底の動きを直接測定したデータが用いられた点で非常に画期的で、これにより南海トラフにおける巨大地震発生のメカニズム解明が進むのではと、大きな期待が寄せられているとのこと。
3.11から5年が過ぎたものの、まだ東北の傷跡も癒えてない時に起きた今回の熊本地震。あらためて地震列島「日本」を認識することとなったのではないか。
日本に住んでいる限り心配しても仕方ないが、今度は何時、巨大地震が来るのかな???
(T.I)