会計事務所ではこの時期、年末調整の真っ最中です。年末調整とは、毎月の給料やボーナスから天引きされた源泉所得税と、その年の給与総額に対して納めなければならない所得税年税額とを比べて、その過不足額を精算する手続きをいいます。
私は今でこそ本職なのでその仕組みは理解していますが、前職のサラリーマン時代には、その年中に支払った生命保険料や地震保険料などに関する書類を12月頃に会社に提出すればお金を戻してもらえる…という程度の認識しかありませんでした。これは私に限った話ではなく、私と同じような認識をお持ちのサラリーマンの方も意外に多いのではないでしょうか。年末調整で戻ってくるお金はちょっとしたお小遣いになると考えている方もいると思いますが、あくまで毎月の給料やボーナスから天引きされすぎた税金が戻ってくるにすぎなのです。
多くのサラリーマンの方は、この年末調整の手続きによって、その年に納めるべき所得税の納税が完了し、改めての確定申告の手続きは不要となっています(医療費控除や寄附金控除などを受けるためには別途確定申告が必要です)。納税者にとっては勤務先の会社が納税と申告を代行してくれるため手続きが簡便であり、国にとっても納税者から確実に税金を徴収することができる都合の良いシステムといえます。一方、会社にとっては莫大な事務負担を強いられており、納税者にとっても手間がかからない分、納税意識を希薄にさせてしまっている面があります。
私たちは日本国憲法において「納税の義務」を負っています。その義務を正しく履行するためにも、そして、税金の使われ方に関心を持つためにも、年に一度のこの時期に、各自が交付された源泉徴収票を確認し、自らの納めた税金がどれくらいなのかを意識することも必要なのではないでしょうか。
(S.H)