本年も確定申告が始まりました。(2月16日(火)から4月15日(木)まで)
注意すべきポイントを挙げてみました。
①全ての人に関係する基礎控除の改正
②給与やアルバイト収入のある人の改正
③年金をもらっている人の改正
④青色申告をしている人の改正
⑤寡婦、ひとり親の改正
⑥配偶者、扶養家族の改正
注意したい改正点の1つ目は、「基礎控除」です。
従来、基礎控除の金額は38万円でしたが、今年の申告からは10万円引き上げられています。(例年申告している方は注意が必要です。)
ただし合計所得が2400万円を超える方は、控除額が段階的に引き下げられ、増税となります。
注意したい改正点の2つ目は、給料やアルバイト・パート収入のある人に関係する改正です。大きく2つあります。
1つは給与所得控除額の改正です。
年収850万円以下の人は給与所得控除額が一律10万円引き下げになり、年収850万円超の人は一律給与所得控除額が195万円となります。
年収850万円超の方については、前述の改正による影響があまり大きくならないよう、「所得金額調整控除」というものが創設されました。これは、子育て世帯と特別障害者のいる世帯(本人または家族)に限り最大15万円の所得金額調整控除額を、給与所得の金額から引くことができるというものです。
注意したい改正点の3つ目は、年金をもらっている人に関係する改正です。大きく2つあります。
1. 公的年金等控除額の引き下げ
1つは、公的年金等控除額が一律10万円引き下げられたことです。また、合計所得の金額によって計算区分が3つに分けられました。
公的年金等控除額は、年金収入から所得を計算するときに引くことができる項目です。
(基礎控除が10万円引き上げられたため、結果的に増税も減税もないことになっています。)
公的年金収入に加えて給料、アルバイト・パート収入がある方に対して、最大10万円の「所得金額調整控除」が設けられました。
青色申告をしている人が注意したいのは、今年からe-Tax(インターネットを使った電子申告)をしないと、青色申告特別控除額が55万円に下がります。
(e-Taxを使えば、従来どおりの65万円の控除を受けることができます。)
e-Taxを始めるには、マイナンバーカードとICカードリーダライタを使う方法と、IDとパスワードを税務署に発行してもらう方法の2つがあります。
寡婦、ひとり親の人に関係するものでは、大きく3つの改正があります。また、「寡婦、寡夫控除」という名称が「寡婦、ひとり親控除」という名称に変更されました。
改正の1つ目は、未婚の人も控除を受けられるようになったことです。これは減税となる改正で、控除額は35万円となります。
2つ目は、寡夫控除が廃止されて、「ひとり親控除」に統合されたことです。控除額は従来の27万円から35万円に引き上げられ、減税となります。
3つ目は、「合計所得500万円以下」という所得制限が加わったことです。
合計所得が500万円を超える方は対象から外されますので、増税となります。
注意したい改正点の最後は、配偶者や扶養親族に関する改正です。
控除の対象にできる家族の所得(合計所得)が10万円引き上げられました。
ただし、合計所得が10万円引き上げられた一方、給与所得控除額も10万円引き下げられたため、対象となる年収は従来と同じです。
具体的には、扶養控除と配偶者控除は給与年収が103万円以下、配偶者特別控除は103万円超201万5999円以下であることが条件となります。
以上、今年の変更点をご紹介しました。今回の改正は、事例によって増税と減税に分かれます。また、青色申告をしている人は、e-Taxを使わないと増税です。
今年は改正内容の確認が必要です。
詳細につきましては当事務所までお問い合わせください。
(F.H)